嗚呼、幻のあんかけスパゲティ

いわゆる名古屋メシの1つにあんかけスパゲティという料理がある。

コシがなくなるまで柔らかくゆでた極太のスパゲティを具材といっしよに炒めたものの周りに、片栗粉でとろみをつけた茶色いソースをドロリとかけまわしたものだ。

初めて食べたときはそのジャンクな見た目と味わいにたじろぐのだが、1度食るとなぜかまた食べたくなってくる。

ところがきしめんや味噌カツなどほかの名古屋メシに比べると、名古屋以外であんかけスパゲティが食べられる店はかなり限られている。

東京に住んでいた時にはカレーのココイチが経営するパスタデココというチェーン店があった。

ところが関西に住んでからはネットで探してもそれらしき店は見当たらず、しばしば禁断症状に苦しんでいた。

そんなある日たまたま通りかかった大阪の地下街の電照看板に、あんかけスパゲティの写真が出ているではありませんか!

よく見るとそれは大阪駅前第3ビルの地下にあるカレー専門店で出されているメニューのようだった。

数日後、勇んでその店に行って、あんかけスパゲティを注文した。

皿に盛られたあんかけスパゲティが出てきて、ではではとフォークを取ったときはじめて気がついた。

タバスコと粉チーズがないのだ。

あんかけスパゲティ―に限らず、ナポリタンやミートソースなど炒めたスパゲティーをタバスコと粉チーズなしで食べるのは、きつねうどんを七味とネギなしで食べるのと同じくらいありえない展開ではないか。

店の人にきくと、粉チーズは別料金であるけど、タバスコは置いてないらしい。

どこか釈然としない気分でタバスコなしのあんかけスパゲティをズルズルすすりながら、いつの日か名古屋でのリベンジを誓うのでありました。